『ハドソン川の奇跡』
イーストウッドが描く実話ということで、ハズレなしな期待からチョイス
”ハドソン川の奇跡”のこと自体は、その瞬間の映像(We Weren't Born To FollowのMVにも使われてるよね)とその後機長が英雄視されて間も無い大統領就任式とかにも呼ばれたという、”直後”のことは知ってるんだけど、ポスターのコピーにもなっている機長が疑われてしまう部分というのは知らなかったのでどんなドラマが起こるのか・・・とドキドキ
イーストウッドのことだから超シリアスな重たい映画かな・・・と少し構えてしまいました
※以下感想です
ネタバレありですのでご注意ください
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シリアスながらも、そう見せるか!という旺盛と1時間半程度という尺であれこれを詰め込むことなくスッキリ仕上がっている
冒頭、ここから”ハドソン川の奇跡”があって、主人公が疑われて・・・となるのかな?と思いきやそれは夢で
あの208秒に何が起こったのかは物語の展開を追いながら明らかにされる、それも2回も繰り返されて
こういう見せ方をする作品ってはじめてだったから、新鮮でもあり、自分がその場に立ち会っているかのようでもあり、終わった時にはぐっと見応えを感じました
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冒頭の夢やビルの高層階で頭をよぎる”まさかのとき”
飛行機だけじゃなくって、ものを動かす仕事をしている人ってみんなこういうプレッシャーを抱えているんだろうな
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事故調査委員会の場面はアメリカの裁判映画を観ているかのよう
シミレーションを17回も練習したことを暴き
”そのとき”に彼らがたどった動きをなぞるのではなく、同じように状況を理解する35秒のロスを設けること
いかに自分たちの行いを立証するか
学生時代はゼミでアメリカの裁判映画を見る機会が多かったのですが、その感覚を思い出しました
久々にこういう自らの主張を有利に持っていくかで、「おー、そうきたか」「よしっ!」って手に汗握りましたよ〜
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事故調査委員会でフライトレコーダーの音声が流れた(観客にとっては2度目の”208秒”)後の休憩
ここでのサリーとジェフの「勇敢だったよなぁ」と言い合う場面がとても印象的
1度目の”208秒”の後はその後の救助の展開までが描かれたんだけど、ここでは登場するすべての人物の強さが一番印象に残ってたもん
声を揃えて体勢をとるよう指示を出す乗務員
状況がわからないながらも互いに手を差し伸べあいながら脱出する乗客
救助に向かう船舶やヘリ
冷静に操縦をするサリーとジェフ
サリーとともに機内を見てまわるジェフや乗務員に脱出するよう促し、自らも促されて最後に機体を離れるサリー
すべての乗客の安全を確保するまでは離れない、教科書に載っている当たり前のことだとしてもスタッフの勇敢さにグッときていたんだよね
ラストのサリーのセリフそのまんまだけど、すべての人たちの勇敢さを称えたい気持ちになるシーンでした
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もしウチが飛行機に乗ったことの無い人間だったら映画の中の物語として捉えて終わっていたかもしれない
札幌にいた頃は年に数回飛行機に乗っていたので、バードストライクなんていつ何時起こるかわからないと思うと、他人事には思えなくて
救助に来た船舶のクルーも、船だっていつ助けてもらう側になるかわからないからこその迅速お互い様な助け合いなんだろうなと感じたし
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物語を締める一番最後のジェフのジョーク
ハービー・デントとかシリアス系もありながらも、個人的にはアーロン・エッカートって軽いテイストの作品の印象も強いので、最後にらしいセリフ言わせたなぁとニヤッとなりました(笑)
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- 2016.09.30 Friday
- 23:14