制作が発表されてから数年、リチャード・カーティス監督の最新作
『アバウト・タイム〜愛おしい時間について〜』が遂に公開!
ということで本日鑑賞してきました
とはいえ、まだ3作目にも関わらずなんと監督業はこれが最後
“監督 リチャード・カーティス”もハズレなしだけにそんなこと言わないでよ〜という切ない気持ちもありますが・・・
※以下感想です
ネタバレありですのでご注意ください
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『ラブ・アクチュアリー』も『パイレーツ・ロック』もみんなが主人公な群像劇でしたが、今作はティムの半生というカンジでひとりの主人公が設定されている
政府から市民までいろいろな人たちが登場するのではなく、世界はティムの家族
でもね、だからこそありふれた日常や幸せをすごく感じる作品でした
恋人達の会話、夫婦のやりとり、親子の関係、どこを切り取っても物語と感じなくてなにかある家族のリアルなドキュメンタリーを見ているのかとさえ思わされてしまう
そして誰もが周りの人間への愛にあふれている
『ラブ・アクチュアリー』で空港を見せ「世界は愛にあふれている」と語りかけたように、恋人の愛、家族の愛、友達の愛、いろんな愛を受けて生きているのだというのをみせてくれる
何気ない日常にあふれる愛、これがリチャード・カーティスらしさなのだと改めて気づかされる
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“監督 リチャード・カーティス”のミューズ、ビル・ナイ
とにかく今回は登場からセクシーで、ずっと惹き付けられた
若い人には出せない、渋いおじさん俳優のイイ味を見せつけていただきました(おじさん俳優が元気なのは日本だけじゃないねー)
一家の中では一番普通そうだけど、大学教授だったけど、脚本家仲間がいて、と実は正体不明?!
自らの死期を悟ったあたりから、これはウチのよそうなんだけど、もしかして彼は一度一生を生ききって、2度目の人生だったのではないか?ということ
自分の人生の展開全てをわかりきっているから楽しむことに重きを置いて、仕事を辞めて楽しく生きて、いざ命が残りわずかとなったときでもどしんと構えていられたのかもしれないのかな?
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主演のドーナル・グリーソン、今回初めて認識した俳優さんですが、頼りない21歳から自分なりの人生観を持つまでをしっかり違和感無く変化させていてアッパレ
なんかマーティン・フリーマンに少し雰囲気似てる?
ところで、初めてタイムトラベルを経験する場面で靴のままクローゼットに入っちゃうあたりが、やっぱり西洋だなって思いました(笑)
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ヒロインがレイチェル・マクアダムスということで、これが少し不安だったんですよね
というのも、まあ自分のチョイスが悪いのですが、ウチが見る作品のレイチェル・マクアダムスって自己中心的だなぁ、自分だったら付き合いたくないかも?!と思わされるキャラに当たることが多くて
特によく観るのが『ミッドナイト・イン・パリ』だから、この人本当に性格が悪いんじゃないか?ってすごい先入観持っちゃってたりして(汗)
そんなカンジで、性格悪いヒロインじゃないか・・・と不安だったのですが、チャーミングな女性でした
基本的にはピュアでやさしくて素敵な女性なのですが、「子供が2人だと比較をして苦しめてしまうから、“保険として”3人目の子供が欲しい」と言ったときにはそれはないだろう!と違和感
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シャーロット役の人、健康的な美人さんでどっかで見たことあるんだけど・・・と思い出せなかったんだけど、
『ウルフ・オブ・ウォールストリート』でディカプリオの奥さん役だった人ね
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少しでもうまく行かなさそうになるとタイムトラベルを使ってしまうティム
でも、未来がわかっていてそうならないようにと行動してしまうから、そんなこと知らない周囲の人間からすると違和感を感じてしまう
そして、失敗しないように完璧を目指してタイムトラベルしてしまうんだけど、完璧って楽しくないじゃんとウチは思った
メアリーと出会って部屋に行き・・・の場面、最初のぎこちなくてハプニングもあっての方がウチは好きだけどな
でも、失敗しないように自分をカッコよく見せるためにタイムトラベルをしているわけでもなくて
ハリーの舞台を成功させる為にメアリーとの本来の出会いの機会を失ってしまうし、キットカットを立ち直らせる為に娘を失いかける
ティムは人の為に何かをしようとすることができる、根がとっても優しい人なんだろうな
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ある青年のタイムトラベルを利用した恋のお話かと思っていたので、一人の人間が恋をして家庭を築いて、自分なりの人生観を見つけるところまで描かれているとは予想してなかったので最初はビックリしてしまいました
一人の青年の成長物語でもあり、父と息子の関係というのもこの作品のテーマかと
失敗するとタイムトラベルをしていたけれど、幼き日の父と海岸を散歩するという素晴らしい“タイムトラベル”を思い出したとき、ティムの人生観は完成したんだろうな
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そして今回もやっぱり監督の音楽センスが光る!
挿入曲がどれも素晴らしい!
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そしてこれだけ良い作品を連発しながら監督はもうしないというのが勿体ない、「やめるのやめた」と言ってくれないだろうかと思わずにはいられない
けれど、きっとリチャード・カーティスという人の“愛おしい時間”は“脚本家 リチャード・カーティス”であることなのだろうとラストシーンを見ながら思ったよ
監督としても好評価を得ながらも、監督作と監督作のあいだにも脚本を何本も手がけ、自分の中では脚本家を天職と感じているのだろうなぁと
そして、未来から現代へタイムトラベルしてきて時間が限られているのだとしたら、天職の為に時間を使いたいと考えたのかもしれない
これからも“リチャード・カーティスらしい”脚本に出会えることも期待して
でもたまには「監督やめるのやめた」とまたいつか創りたい映画が生まれたらそうなってくれたらいいなと思います